TAG HEUER腕時計のバンド改良です

TAG HEUERの腕時計をお持ちいただきました。
長くお使いになっているとの事でしたが、時計本体もバンドにも傷みは.見られませんでした。

ご依頼の修理内容はベルトの剥がれでした。
状態を確認すると、元々は接着だけだったようです。お客様のご依頼内容は接着だけでなく
「縫いを入れてより長く使えるようにして欲しい。」
ということでした。

事前にお電話で相談いただきましたが、腕時計の革バンドは汗などで、革そのものの力が無くなっている場合が多いため、現物を確認しながら方法を検討させていただきました。

革バンドに縫いを入れても、十分に革の力が保たれることを確認して改良しました。
まずは元通りに革用接着剤で接着します。この時、十分に圧着しないと接着部が浮いてしまいます。また、圧着のために強い力を加えると革に押し跡が残ってしまいます。
縫製した結果、このように仕上がりました。縫った部分がお判りになりますか?(こちらは裏側です)

縫製した反対側はこのような状態です。(表側です)
元々、糸が入っていたラインに合わせて縫製していますので、ほとんど違和感は無いと思います。
縫製後は糸がダブルになっていますので、どこを縫製したかは写真でも確認していただけます。
腕時計を受け取りに来られたお客様から、
「この時計を腕にはめるのは久しぶりなんですよ。ありがとうございました。」
と言っていただきました。ご満足いただけたようです。
修理内容はそれほど難しい内容ではありません。しかし、違和感を出さないための糸の選定や、購入のための買い出しなど、コストは見えないところに掛かっています。鞄などの革製品に使われている糸は、太さだけでも0番1番5番8番20番30番程度が使われています。色も多く、弊社で全種類を在庫しているわけではありません。
修理に合わせて、一品一品を選定して購入する事で、仕上がりは良くなります。その分見えない時間も使っているため、完了する時間が遅くなる場合があります。この点は今後改善するポイントです。

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