LouisVuitton手提げバックの周囲補修

お持ちいただいたルイ・ヴィトンの手提げバックです。本体部に傷みは見当たりません。

反対側も傷みは見られません。

お客様が気にされていたのはバック入口部分の革切れです。

一か所だけではなく全体に擦れによる革切れがありました。こちらの部分革切れだけでなく革が無くなっているのがご覧いただけます。

こちら側も革切れで全体に切れた部分が開いているのがご覧いただけます。左側には縦に一直線に革切れしている所も確認できます。

革がパカッと開いたような状態になっている所などもあります。
方法としては全体を革テープを使って作り直すことも考えられますが、今回はオリジナルをそのまま残しながらの施工をお選びいただきました。

革切れしているところの裏に革を差し込んで下革を作ってから革専用パテを使って無くなった革を再生していきます。縦に一直線に割れている部分も同様に補修していきます。

最初お受けした時は10ヶ所程度にカウントしましたが、予想以上に切れている部分があり、大変に手間が掛かりました。

色合いは手提げ革の根本部分を参考にして調色しています。この写真で写っている飾り革は表面色が無くなって革の色が出ていますので、そちらとは多少の色の差異は発生します。

全周の革切れと一直線に亀裂が入っている部分は全て補修しました。
入口革の縫製の糸は「糸残し」という塗装方法を取っていますが、若干は糸が塗料を吸ってしまう場合もありますので、それは仕方ありません。糸下の色は元々の色から表面が擦れて革色が出ているラインです。その下の少し焦げ茶色になっている部分もオリジナルの色です。
一番下のラインは革が切れて無くなっている所も多くあったため、下革を入れて補修した後に塗装しています。一番上の塗装と同じ塗料ですが、焦げ茶色のラインを消すことも考えられますので、塗る回数は2回程度に留めています。それでも敢えて塗料を入れているのは、表面革色が擦れて無くなってしまっているからです。

手提げ元の色合いより、少し濃くなっていますので、全体的なバランスをお客様に気に入っていただけるかは判りません。

受け取りに来られたお客様にご確認いただき、色の違和感も許容範囲で収まっていたようです。
それよりも周囲の革切れや亀裂が無くなっていることを大変喜んでいただけました。
部分補修は補修面積が少ないので価格的に安く収まるばかりではありません。今回のように、ひとつは小さな傷みでも数が多くなるとどうしてもトータルの金額は上がってしまいますので、お持ちいただいた際にご相談いただければ補修方法も検討します。要はお客様の一番気になる点が共有できれば改善策を見つけやすくなります。
今回は革切れの補修箇所の多さと手塗り塗装になる点や糸残し塗装という点が補修時間を大きく引き上げてしまいましたが、お客様もご納得いただけてご発注いただいています。

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