CHANELの折り財布です

シャネル

シャネルの折り財布をお持ちいただきました。型崩れは無く、折り部やエッジも特別傷んでいるようには見えません。

財布の変色

ところが背面を見ると色の変わっている所がありました。右側が非常に強く赤が出ています。左側3分の2は色が残っています。

変色状態

余りにも傷みが少ないので「買われてすぐでしょうか?」とお聞きすると「5年くらい使っています。」とのお話でした。
大切に、常にカバンの中に入れてお使いになっておられるとの事でした。

シャネル全体

ところがカバンの中に一緒に入れていた、手の除菌液のフタが開いてしまって財布にかかってしまって変色したとの事。
こちらのお財布だけではなく、最近は同様のお話がよくあります。除菌液のアルコール濃度が高いため、表面の顔料塗料か溶けて変色してしまうのです。

シャネル全体塗装

施工後はこのような感じになりました。

光沢は元々よりも少し強く出るようにしました。

ところが、受け取りに来られたお客様の奥様にご覧いただくと、奥様から「くすんでいる。」という一言をお聞きしたため、色を再度見直して、再施工することになりました。
凹凸のある表面は凸部と凹部で微妙に色合いが違います。光の加減もあるのでしょうが、塗料は1色なので違和感が出たようです。
奥様のイメージを十分にお聞きして、少しホワイト色を強くして光沢をさらに強くするように方向を決めました。

再施工して塗り直した財布がこちらです。
ホワイトを少し強くして、光沢も少し強く出るようにしました。
上の画像と比較いただくと、再施工後の色がお判りいただけます。

背面はこのような状態です。
最初の塗装色から、ホワイトは約5%程度強くしています。光沢は10%程度強くしました。

開いた状態はこのようになっています。
再度、受け取りに来られたお客様にも大変喜んでいただけました。奥様のイメージ色が「少し薄い」という事だったのです。ご注文をお受けした時は「少し濃く」ということで、赤が強くなっていたために奥様のイメージ色との違和感があったのでしょう。光沢も10%強くしたのも気に入っていただけたようです。
弊社の塗料はアルコールには比較的強く、施工後は除菌液が万一かかっても問題ありません。

お客様にもご説明しましたが、実は最初の塗装色の方がオリジナルに近いのかもしれません。
それはこの画像を見ていただければ、少しご理解いただけると思います。内側は塗装していませんので、開いた上側はオリジナルの色です。少し赤く見えませんでしょうか?
しかし、お客様のイメージ色(記憶色)が弊社の目指しているところです。ですから、下側の気に入っていただけた色がお客様のイメージ色(記憶色)なんです。僅かな色の違いがお客様の気持ちを大きく左右する事を勉強させていただいた出来事でした。
色は100%オリジナルに合わせることは出来ません。しかし、ご注文の際はお客様のイメージを出来る限りお聞きするようにしています。
それが出来て、お客様に喜んでお持ち帰りいただける事が弊社の喜びでもあります。
日々是勉強。いつまで経ってもゴールにはたどり着けないのかもしれません。

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