ショルダー鞄のプチ・リメイク

本革のショルダー鞄をお持ちいただきました。こちらは正面ですが、特に傷みは見られません。

背面も傷みはありませんでした。お客様がお持ちいただいた理由は「プチ・リメイク(※お客様が言われた言葉を変換した場合)して欲しい。」という事でした。

「使い易い鞄だけれど、物を入れて肩に掛けると鞄が開いてしまうのが嫌なんです。」というお話でした。そのため、この開きを修正するリメイクが必要になります。
お客様のご要望はもうひとつ「特別に高い鞄でもないので、あまり高額にならない方法で、改善したい。」というのがお客様のご要望でした。

プチ・リメイクするために参考にしたのは、背面のファスナー(チャック)を開ける把手です。1枚革を折り曲げて両面カシメで止めるという方法でした。エッジ(コパ)塗装もされていません。

お客様は、開いている部分をベルトで止める方法を考えておられたので、その方法を採用させていたきました。
止めベルトは、ファスナー(チャック)の把手と同様に1枚革でエッジ(コパ)の塗装は行わない方法をご提案させていただきコストダウンを行いました。さらに、弊社が持っている端革を使う事をご了解いただきました。端革というと聞こえは悪いですが、各種の修理を手掛けてきたものの余り革というのが正しい言い方です。

まずは端革の中から色を決めていただくことにしました。
【お客様のベルトのイメージは同系色の革】
しかし、同じ色の革は製造メーカーしか持っていません。そのため、弊社にあった革からいくつかの革色を出してご検討いただきました。しかし、弊社にある革では「革目」「革色」「光沢」など必ずしもお客様のイメージに合った革はありませんでした。黒色も悪くないという事でしたが、アクセントにした方が良いと思いましたので、写真の革をお奨めしました。

【ベルト長さの決め方】
お客様が一番気にされていたのが、物を入れた時の開きでしたので、長さが最も重要です。お客様にご希望の開いている状態を作っていただき、金具取り付けの寸法を考慮して125mmの長さに決めました。
【ベルト幅でイメージが異なる】
長さが決まったところで、ベルト幅も決める必要があります。細いベルトなら10mm程度も考えられますし、紐ベルトという選択もできます。幅広の場合は50mm以上もあると思いますが、いくつかの幅サンプルからベルト幅は20mmに決定しました。

【金具の色も選択範囲】
金具の色も重要な要素です。今回は元々使われている金具色がアンティークゴールドなので、スムーズに金具色は決まりました。
お客様には光沢のあるシルバーやゴールドもお見せしながらご選択いただきました。こちらに特殊なタイプがご希望の場合は買い出しや打ち具の購入などが必要になりますので、金額は大幅に高くなります。金具もサイズや色や形状など様々です。今回は2種類のメーカーの物を使用しました。

お客様に決めていただいた鞄の開き加減です。ホックはなるべく大きなものを使用しています。かといって大きすぎるのも主張が強くなりすぎます。ある意味バランスが重要です。

【ベルト端面の形状も重要】
こちらは鞄の背面になる部分です。ベルト端面はストレートにカットしています。正面と比較いただければ違いがお判りいただけると思います。

こちらがベルト取り付け後に背面を撮影したものです。ストレートにカットしたベルト端面がお判りいただけると思います。お客様とのお打合せの時は、正面と同様のU字型をご提案させていただきましたが、背面はストレートカットの端面をご選択されましたので、その通りに施工しています。取り付けには大カシメ一本で取り付けています。背面は本体部分に縫い付ける事も可能でしたので、ご提案させていただきましたが縫製を加えると工数が多くなり金額が上がるため、金具での取り付けになりました。本体に縫い付ける方法は、最初から付いていたイメージが作れるためです。外縫製も考えられますが、中間に挟み込む方法だと、より最初からベルトが付いていたイメージに出来ます。しかし、取り付け方法によっては工数が多くなるため、そこはお客様とのお打合せを優先しています。

ベルト正面の端面がU字型になっているのがご覧いただけます。
お客様にお渡しした時「中央のベルトがアクセントになっている。」と大変ご満足いただけました。「これで使い勝手の良い鞄が通勤に使えるね。」と御一緒にご来店いただいたご主人様にも喜んでいただけたようです。コストダウンは可能な限り行っています。それでもご満足いただけたのは、お客様とのお打合せに時間を掛けたからです。
ベルトの作り方は様々です。「1枚革ではなく2枚革や3枚革も考えられます」「端面のカット加工」「エッジ(コパ)の塗装の有無」「表面の色合わせ塗装の有無」「縫製の有無」「金具の種類や数」と工数を低減するために様々なことを考えて施工しています。プチ・リメイクとはいえ、弊社は出来る限りお客様のご要望に近づける事を考えています。
それにはお客様との真摯なお打合せが不可欠です。万一、送付いただく場合も、お電話でお打合せにお付き合いいただく時間が必要ですのでご了解ください。

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