2023-10-20 / 最終更新日時 : 2023-10-21 knishikawa こんな補修も 本革ジャケットの革切れ補修 お持ちいただいた本革ジャケットです。パッと見ただけでは傷んだ場所はありませんでした。 お客様のご依頼はこちら。首周りにあるボタンでした。 片方のボタンの根元の革が切れてしまっています。このままだと革と共にボタンが外れて穴になってしまいます。 裏側は肌に触れるところなので、分厚い織物が使われていました。裏側にボタンを縫製している糸は見られません。最初は「裏に糸が見えても良い。」という事でしたが、肌に触れる部分ということで、内側で縫製を行うことに決まりました。 ボタン周辺の縫製を外していきます。裏側には不織布のような材質が使われていました。おそらく、縫製糸を保持するために使われている物だと思われます。確かに左側の表面側が切れている方は不織布がギリギリのところになっています。 不織布の一部をカットして、表側と同等の革を貼り付けて、追加した革に表革を貼り付けることで、切れた表面革は元通りに戻せます。 裏側の革に縫製していますので、実質的に二枚の革への縫製になりますので、強さは十分確保できます。分厚い革ジャケットをボタンで留めるためには厚さ分の高さを確保することが必要です。こちらのボタンの付け方は背広やコートなどに使われている縫製方法です。 ボタン下に革切れした筋が少し見えますが、強度には関係ありません。 ボタンの正面からはキズは全く見えません。 完了後の首周りの織物生地側には縫製糸は見えていません。 お客様から、右側のポケットのボタンも取れそうなので取り付けなおして欲しいということで、追加のご発注をいただきました。 こちらは裏側に縫製糸が見えます。ポケット裏なので頻繁に肌に触れる場所ではないため、このようにしてあると思われます。こちらは最初から表革と裏革の二枚革に縫製されていますので、糸が伸びてしまったのでしょう。 厚物にボタンがスムーズに入るように高さを確保しているのは同様です。今回の施工は、たまたま在庫している糸があったためにスムーズに進められましたが、必ずしも全ての糸を揃えているわけではありませんので、一ヶ月以上のお時間をいただく事も良くあります。お客様も喜んでお持ち帰りいただけました。 Follow me!