椅子の座面張り替え依頼

椅子のリペア(修理/補修)をご依頼いただきました。座面と背もたれの花絵柄があるクッションは布製でした。こちらは簡単に取り外しが出来るもので、椅子を購入した時に付属していたものです。

お客様のご要望は、花絵柄のクッションを取り除いた時の座面補修です。クッションを取り除いた状態で座面に座るにはちょっと問題がありそうです。

座面は写真を見ていただければ傷みの状態がお判りいただけると思います。生地は布製で、金属バネの跡がクッキリと現れています。

布製の座面は、薄くて直接座るにはとても強度が足りそうにありません。お客様も花絵柄のクッションの上に常に座られていたのではないでしょうか。

表面の布下にあったウレタンも同様に傷みが激しく、新しい物への交換が必要なようです。ウレタンはそれほど厚くなく、木製枠に一部を織り込んでいました。

ウレタンの切れはこのような状態です。上の直線で切れている部分は木で切れたところです。下の三日月のような3ヶ所の切れ目は金属バネで切れていました。

さらに、その下にはポリプレピレン(PP)製の薄いシートがありました。こちらはウレタンが劣化して粉状にむなったときに下に落ちないようにするための保護シートです。椅子だけでなく、ソファにも使われている場合がありますが、座面強度を上げるものではありません。

木枠に金属バネが固定されている状態です。さすがに金属製なので傷みはありません。しかし、金属バネが座面の傷みを助長していることは間違いありません。

そこで、座面強度を上げて金属バネの傷みを和らげるために、ゴムベルトを全面に張ることにしました。ゴムベルトはソファにもよく使われている強度の高い物です。敢えて全面に張ることで金属バネのイタズラ(傷みの助長)を大幅に低減して、さらに座り心地も柔らかくなる一石二鳥の方法です。十字に張る事もありますが、下に金属バネがありますので、敢えて同方向にゴムベルトを張っています。

ポリプロピレン(PP)製のシートも新しいものに張り替えました。こちらは強度は必要ありませんので、使用したのは薄いシートです。

ウレタンも新しい物に交換しました。オリジナルよりも少し厚みのあるものを使用して、木枠への折り込みはやめておきました。

木枠への折り込み部は、表面に新しく張り替えた合成皮革で行っています。
こちらは、お客様からお預かりした時にご提案していたものです。オリジナルの布製に対して強度が高く、花絵柄のクッションが無くても使用できるからです。

木枠に張り終えた座面部は椅子の木枠にはめ込む形になります。そのため、ゴムベルトやウレタンを織り込まずに施工しているのがお判りいただけると思います。
表面の合成皮革の厚さは0.6mmです。オリジナルの布製の3倍以上の厚さになっていますので、左右で1.2mmの厚さになりますので、事前にはめ込みが可能かどうかも確認しています。

出来上がった座面はオリジナルよりも少し高くなっていますが、座り心地に違和感が出ない程度の厚さアップです。それよりもゴムベルト追加により座面を選択できるようになったのはプラスのリペア(修理/補修)が出来たのではと思っています。
納品時、花絵柄のクッションが無くても使える事は喜んでいただけたようです。

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