Paul Smithバッグの革切れ補修

ポールスミスのバッグをお持ちいただきました。まだ新しいバッグでパッと見た状態では傷みは判りませんでした。

傷みは持ち手の根元の革切れでした。オリジナルの分解手順で考えると、大きく分解して切れた革を交換するのが最も良い修理ですが、大きく分解するという事は修理費用が高額になってしまいます。
お客様とお話し合いの結果、分解しないで切れたところから裏に革を接着する方法で切れたのが判らない程度に修理することになりました。

裏に新しい革を貼り付けて、その革に切れた表面革を貼り付ける方法で修理を行っています。
切れた革はなるべく凹凸が無いように貼り付けていますが、やはり若干は切れに沿って筋が発生します。

真正面から見ると、革切れの筋もほとんど判りません。そのかわり、裏に貼った革の筋がうっすらと判ります。こちらに筋が出ているという事は圧着が出来ているという事です。
切れていた幅よりも筋が見えるのはかなり内側になっています。その理由は2枚の革に分けて貼り付けているからです。そうすることで、持ち手に近い部分は接着強度を上げているのです。

少し離れると、切れていた部分は全く判らないと思います。
お客様にお渡しした時も「ほとんど判らなくなっている。」と喜んでいただけました。さらにお客様からは「できる限り持ち手は使わない方が良いですよね。」と言っていただけました。仰る通りで、接着剤だけの補修はオリジナルの修理よりも強度は劣ります。本バッグはショルダーやリュックとしても使えるタイプだったので「できるだけリュックとして使った方が良いですよね。」とお客様からも言っていただきました。(その通りです。)
一時的な修理を優先する場合、接着剤をメインに使うのは良い時もあるのですが、お客様も十分にご検討いただければと思います。弊社ではオリジナルとコストダウン修理の方向性を丁寧にご説明しています。

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