COACHショルダーベルトのカット加工

コーチのショルダーベルトをレターパックプラスでお送りいただきました。「長さが長すぎるのでカット加工を施して欲しい。」という事でした。元々の長さは100cmを超えていました。カット後の全体寸法を86cmにして欲しいという事でした。

ところがお客様が加工して欲しいところは、本体ベルト両端には吊り下げ金具が取り付けられるように幅の狭いベルトが縫製してありました。
お送りいただいた物には吊り下げ金具がありませんが、こちらはお客様の手元に置いてあるとの事でした。

サイドから撮影すると、幅の狭いベルトはベルト裏側に縫製されており、上にあるベルト止めと金具止めはベルト表側に縫製されていました。

ベルト裏側をピックアップ撮影すると幅の狭いベルトが縫製されている事がご覧いただけます。上部に掲載している表側にこちらと同じ縫製跡はありませんでした。

カットする部分のベルトを分解すると、縫製は内側で行われていることが判ります。ベルトは3枚合わせで作られているという事もご覧いただけます。

寸法カットを行うと、ベルトの構造が判ります。今回は表の革と中芯と裏側の革はほぼ同じ厚さというのが判ります。
また、表側にあったベルト止めと金具止めのベルトを取り付けるためのケガキを行い位置を確認しています。先端はR加工が必要なので、その位置もケガキしています

取り付ける必要がある部品と内側縫製を行うために3枚合わせのベルトを開腹しています。簡単そうに見えますが、ベルトの開腹はかなり慎重に行う必要があります。

幅の狭いベルトとベルト止めの革および金具止めの革を縫製して、ほぼ元通りに戻りました。しかし、カットした先端のR加工部はまだ処理終わっていません。コパ処理をしないと、このように違和感が出てしまいます。

全て加工が完了したベルト先端の左右を比較して見ました。こちらは裏側です。
左側が加工した先端ですが、ポチポチと茶色い点がありますが、こちらは縫製した糸の先端を加熱処理して潰した場所です。一本の糸で縫製できませんので、どうしても茶色の点は残ってしまいます。ハサミでカットするだけだと茶色の点は無くなりますが、糸がホツレ易くなりますので、弊社では糸の端面は加熱処理するようにしています。

表側を比較撮影したものです。左側が加工していないオリジナルの状態です。右側が加工した先端ですが、それほど違和感は無いと思います。ベルトや金具はオリジナルで使われていたものを加工せずに使用いますので、違和感は少なくなります。

加工した方の先端をピックアップ撮影したものです。先端のコパのブラウンもなるべく違和感の無い色で仕上げているつもりですが如何でしょうか?
縫製はオリジナルで使われていた色に最も近い色と太さの糸を使用していますが、折り返し縫いをしている部分は糸が二重になりますので少し膨らんでいる部分があります。

出来上がったベルト寸法は86cmになっています。お客様の手元にある吊り金具を取り付ければベルト全体の寸法は95cmになり、お客様のご要望通りにできています。
お客様にはレターパックプラスで送らせていただきましたが、気に入っていただけかどうかは残念ながら判りません。
このような加工はかなり細かい作業が多くなります。一工程の加工が¥2000や¥3000であっても積み重なりますので結構高い金額になります。
弊社では、お客様にご説明しながら「ご要望」と「ご予算」を検討していますので、お話の中で決めていただければと思います。
今回も、届いたショルダーベルトを確認してから、弊社からお客様に電話をして施工内容を決めています。お電話の時間は30分を超えてしまいました。

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