2025-03-20 / 最終更新日時 : 2025-04-08 knishikawa ブランド財布 PRADA財布の革切れ補修 プラダの財布をお持ちいただきました。ブランドマークのある外観からは全く傷みがありませんでした。 背面も確認させていただきましたが、傷みの無い綺麗な外観でした。 お持ちいただいた理由は、こちらのボタンホックによる革の切れでした。開閉を繰り返すと、確かに革が切れる事もあると思いますが、使用感が非常に少ない財布でボタンホックとともに革が切れているのは初めて見る状況でした。 革が切れた真横から撮影するとこのような感じでした。革はかろうじて切れていない部分もありましたが5分の3は切れていました。 ボタンホックは表の金属と裏の金属で革を挟み込む事で止めています。つまり、革と共に切れているということは修理するのは難しいということです。単純に考えられるのは、そのまま接着剤で接着する方法ですが、それでは接着した部分だけが沈みこむ事になります。 そのため、今回は革を裏側に入れて、その革に切れた部分を接着する方法にしました。裏側に入れる革は、できるだけ大きな革を入れる方が再度切れることを防ぐことが出来ます。しかし問題は、切れた部分の裏側がほとんど金属だということです。そのため、革も金属にも接着することが出来て、硬化後も柔軟性が保てる接着剤を選択します。簡単なようで綺麗に接着するのはなかなか難しいものです。接着剤は切れた革の周囲も接着しますが、その高さは0.6mm程度なので、接着剤が表面に出ないようにしなければなりません。そして、裏の革にはたっぷりと接着剤を入れる必要があります。 しかしながら、今回の修理は弊社にとってもあまり自信があるわけではありません。革と同時に金属もキチッと接着するのはなかなか難易度が高いのです。お客様にも「2~3カ月で同じ状態になってしまったら再度検討します。」というお話をしてお渡ししました。今回は2点の修理品をお預けいただきましたので、もう一方の修理が完了して、取りに来ていただくまではなんとか強度を保っている事を祈るばかりです。「他の修理店ではどのような修理方法をするんだろうか?」と考えてしまった修理の一例でした。ちなみに本当に強度を確保するには一部を分解して、より大きな革を入れてボタンホックを新しい物に交換すれば新品以上の強度を確保する事が出来ます。今回はなるべく「安く」「早く」修理する方法を採用した場合の修理状況をみていただくための掲載例です。 Follow me! Bluesky