2026-08-12 / 最終更新日時 : 2026-10-26 knishikawa こんな補修も シープ革のB3フライトジャケットの補修 羊(シープ)革のB3フライトジャケットをお持ちいただきました。今でも人気のあるジャケットですが、羊(シープ)革は長く使っていると革の耐久性が落ちやすい欠点があります。 正面からは傷みは見えませんでしたが、背面から見ると革切れがすぐに確認できました。右腕部分に非常に大きな革切れが見られます。 革切れが起きている部分をピックアップ撮影してみました。内側にある「毛皮」がかなり表に出てきています。 羊(シープ)革は毛皮を内側にすることで保温力を高めています。本来、外側にある毛を内側にするという事は、ジャケットに作られた物の外側は真皮の部分という事です。そのため、ジャケットに作り替えた牛革などと比較すると耐久性は劣ります。牛革などは元々外気にさらされていた部分が外側になっているから耐久性が高いと言えます。 さらに羊(シープ)革は温かい毛皮を内側にしているため布などの内張りはありません。つまり、羊(シープ)革は一枚革で作られているという事です。表面が切れてしまうと、その部分から外気が入ってきますので、保温性も悪化します。弊社は切れを補修する場合は内側からの補修を行います。 内側から補修する理由は、表面の違和感をなるべく無くすようにするためです。上記の画像は裏に貼った革に、残っていた表面革を貼り付けた状態です。表面革の残りが多いとほとんど接着の筋だけになりますが、今回は溝がかなり残ってしまいます。 溝を無くすためには柔軟なパテを使います。パテが少なすぎると表面の高さが合わないため、少し厚めに柔軟パテを使っています。 厚めに塗ったパテを削っていく事で高さを合わせていきます。ただ、オリジナルの羊(シープ)革よりパテの方が硬くなりますので、表面の柔軟パテは少なくなるように仕上げていきます。 ほぼ柔軟パテを削って、高さが周辺と合った状態です。こちらから、今度は革専用塗料で着色していくのですが、残念ながら白付け後の画像は撮影を忘れてしまいました。 塗装していない状態でも、革切れが無くなっているのはご覧いただけます。この状態からどのように塗装していくのかは想像にお任せします。ただ、言えることは一色の色だけでは違和感が出てしまいますので、何色かの色を調色して使用します。そして、周辺と違和感の無いようにするために、模型塗装などで使われるウェザリング塗装で仕上げています。 今回はウェザリング塗装をしていない画像しか撮影していませんでした。その点は申し訳ありません。 お客様にはウェザリング塗装を施したB3ジャケットをご返却させていただきました。「切れていたところが判りませんね。」と言っていただけたので気に入っていただけたのだと思います。内側に貼った革部もご覧いただきご満足いただけたようでした。弊社の施工方法は内側になっている「毛」をカットしますので、その部分の保温力は落ちています。しかし、着ていただいた時の違和感を極力少なくして、接着した革との二枚革になるために切れた革部を保護できるメリットがあります。