2024-08-20 / 最終更新日時 : 2024-08-22 knishikawa こんな補修も GUCCIショルダーバッグのベルト切れ修理 グッチショルダーバックをお持ちいただきました。ベルトが切れそうだという事でした。本体に傷みはほとんどありませんでした。 切れそうなベルトは、金具に取り付けられたところです。 完全に表面の革が切れているのがお判りいただけます。黒く見えているのはベルト強度を上げるための布生地です。今までは。表面革が切れても、かろうじてこの布生地のおかげでベルトが保たれていたようです。 切れたベルトを分解してみました。二枚合わせの革で中芯もあり、右側に見えている黒いのが、かろうじて切れを防いでいた布生地です。 一番上にあるのが布生地です。あまり長くはないのですが、ベルトを強くするためには重要な部品と言えます。その下が中芯として使われている物でファイバー(紙)製です。ベルトに腰を持たすために入っている物です。さらに先端には布生地が使われていましたので、作りとしては問題ありません。 今回はお客様とのお話し合いの結果、表面革はオリジナルを使って、切れた部分にはベルト強度を保つために裏に合成皮革を貼り付けることになりました。しかし、表面革が無くなっていた部分は違和感のないように補修しなければなりません。そのため、無くなってしまった表面革の代わりに柔軟なパテを入れて成型する方法を採用しました。 裏側に合成皮革を入れた状態です。合成皮革の厚みは0.6mm程度ですので。オリジナルのベルト厚さよりは若干厚くなります。また、合成皮革に使われている生地の色はグレーなので、その処理をしておかないとベルトとして取り付けた後に違和感が残ってしまいます。 そのため、取り付ける前にグレー色を無くすためにコパ塗料でグレーのところを無くしています。 ベルトを縫製して、無くなっていた表面革の代わりに入れたパテに色を入れてオリジナルのベルトになるべく違和感が出ないようにしました。とはいえ、オリジナルのベルト革とは若干の違和感があると思います。オリジナルのベルト革と全く同じ凹凸や少し傷んで色が変わってしまったところの修復には限界があるからです。この方法以外では、ベルト革として販売されている物に完全に交換してしまう方法がありますが、色や質感などを合わせることはできません。特に今回はバック金具の上下に同じ革が使われていましたので、なるべくオリジナルからの違和感を少なくする、今回の方法が良いと思います。 出来上がったバックをお渡しする時に。お客様から「完璧じゃないですか。」と言っていただけました。お客様の出来上がりイメージは越えていたようです。リペアという仕事はお客様が頭に描かれている出来上がりイメージよりも綺麗に仕上がっていると成功なのですが、お客様のイメージよりも悪かった場合は失敗と言えます。弊社も必ずしも100%の成功率ではありません。しかし、お客様と十分に話し合う事で、出来上がりのイメージを共有できるように日々努力しています。 Follow me!