2025-03-29 / 最終更新日時 : 2025-04-17 knishikawa こんな補修も ムートン革の革ジャン切れ補修 羊(ムートン)革の革ジャンをお持ちいただきました。右肩(画像では左上)に切れがありそうです。 背面は特に傷みはありませんでした。 もう一つ、お客様の気にされていたのは左腕にあった切れでした。こちらは全体写真では確認できないと思います。 右肩の革切れはこのような状態でした。結構長い範囲が切れていました。羊(ムートン)革は、内側に羊(ムートン)の毛を使っているため、表面の革は裏革ということになります。そのため、革の中ではあまり強い革とは言えません。しかし、羊(ムートン)の毛が温かいので、革ジャンにはよく使われています。アメリカ空軍などで着ている方も多かったようです。 一枚革なので裏から見ると切れているポイントがすぐに解ります。弊社の施工方法は裏側に革を貼り付けることで強度を上げる方法をにしています。しかしながら、裏側に毛があるので革を貼り付けるためには、切れた革の周囲の毛はカットする必要があります。画像はカットした後の状態です。 毛のカット量はこの程度ですが、多いと感じられるか少ないと感じられるかは人によって感じ方は異なると思います。 裏側に貼る革は柔らかいが引っ張り強度の高い革を使っています。色はその次の選択になりますが、今回は少しでも目立ちにくい革を選んだつもりですが、それでも裏側から確認すると決して目立たなくはありません。 裏側に貼り付けた革に表面の切れた革を貼っていきます。今回は切れた革がほとんど残っていましたので、貼り付けた革の溝が判る程度になりました。切れた革が無くなっていると、異なる革で処理したりパテを使ったりする必要がありますので、ここまでせ綺麗にはできません。周囲に肌色のような傷が沢山ありますが、こちらはお持ちいただいた時の傷です。塗装して色を全体に合わせる事もありますが、今回は切れ補修がメインで、全体塗装のご依頼はありません。 表面を確認すると、このような状態になっています。傷が目立っているところは、表面革が剝がれたところや剥がれつつあるところで、ざらざら感がありましたので表面を軽く削ってざらざら感を無くして少し塗装しています。ただ、全体に同じ色で塗装すると、よけいに違和感が出てしまいますので、どちらかというとリアルに合わせるウェザリング塗装としました。 左腕にあった革切れも革が残っていましたので、こちらはボンドのみで補修できました。表面の塗装は行っていません。 施工完了した全体の状態です。お客様には大変ご満足いただけました。リペアは「お客様の完了イメージ」より良かった場合にご満足いただけますが、イメージより悪かった場合は評価いただけません。弊社では、そのイメージをお客様と合わせるために、お打ち合わせに多くの時間を割いています。それは、お持ちいただいたお客様でも、お送りいただいたお客様でも同じです。お電話ではそのイメージを合わせる事が大変なのですが、最近は携帯の通話料金定額プランがありますので、通話費用を気にしなくても良くなっているのが助かっています。 Follow me! Bluesky