本革コートのファスナー交換

本革コートをお持ちいただきました。色の変色や革の傷みはありませんでした。

お持ちいただいた理由はこちら。ファスナーのスライダーが割れてしまっています。こういう破損の仕方は初めてでした。

ファスナーはプラスチックファスナーでした。お客様のご要望により種類を変えることも行いますが、今回は同程度のプラスチックファスナーへの交換依頼でした。
ファスナーの左に見えるボタンホックが邪魔をして、ファスナーを取り外せない事がありますが、今回はボタンホックを取り外さなくてもファスナーだけを外すことが出来ました。

交換後のファスナー上部です。ファスナー位置がズレていますが、こちらはオリジナルと同様の状態です。弊社が寸法や取り付けを間違ったわけではありません。

ファスナーを縫製して取り付けていきますが、糸色や糸の太さも重要な要素です。弊社は「ビニモ」という縫製糸を使っています。主に革製品などの厚物の縫製に使われる糸です。
色は、なるべく色の近い物を使用していますが、今回は少し濃い色になりました。糸の種類はメーカーによっても異なりますので、ビニモの中では、この色がオリジナルの縫製糸に一番近い色と判断しました。

町の「服のお直し店」でもファスナー交換を行えるところはありますが、ほとんどが布で作られた縫製品までしかできません。なぜなら、革製品は使用している糸の太さが太いため、糸の太さに対応できるミシンが必要なためです。

縫製が完了した革コートです。
冬物のため、ファスナーが隠れる構造のため、完了後はファスナーや糸は見えません。何とか本格的な冬に入る前にお客様にお渡しすることが出来ました。