リビング椅子のクッション補修

リビング椅子のクッション補修をご依頼いただきました。
座面は傷んでいないので、そのまま使用してなるべく安くして欲しいというご依頼でした。

座面は合成皮革です。そのため、擦れやキズが多いと座面の交換をお奨めしています。
状態を確認すると擦れや傷みがほとんど無く、お客様のご要望通りに座面は今までの物を使用することになりました。材料費で言えば座面の合成皮革分がコストダウンできます。しかし、それよりは今までの物を使用するために、表面の革紋(シボ)や色合いが全く同じになる事です。合成皮革もメーカーや年代によって必ずしも同様の物が製造されているわけではありません。

詳細に点検すると、残念ながら若干の切れがありました。
合成皮革の場合、切れた部分から表面皮革が剥がれていくことが多いのですが。こちらの座面の切れは一箇所だったので、キズを補修することにしました。

こちらは座面を剥がすために施工している最中です。太鼓鋲のしたに廻り縁があり、その下に座面を止めているタッカー(ホチキスの大きな物)で打たれたステープル(針)が見えます。

座面とクッションを剥がすと、その下にはシートがありました。こちらはクッション全体に力が分散するように入れられているものですが、この状態でも大きく凹んでいるのがご覧いただけます。

クッション(弾力性)が悪くなっていた原因はこちらの弾性のあるベルトでした。

サイドから撮影した画像がこちらです。明らかにベルトが伸びてしまい弾性が無くなっているのがご覧いただけます。

新しい弾性ベルトを張り直すことで、原因の多くは解決できました。
お客様が言われるクッションは、ウレタンやスポンジ状の物を言われることが多いのですが、安いスポンジと同様な物は弾力性が少なく、椅子やソファで使用されている物は高密度ウレタンという物が多く使用されています。高密度ウレタンは弾性を長く保持しますので、よく言われるクッション(弾性)というのはこういうところが傷んでいる場合が多くあります。

表面の切れ一箇所については、弊社で使用している柔軟パテを使用して補修しています。色は調色したものを加えて、違和感が少なくなるようにしましたが、本当に僅かなキズのため、これ以上切れが広がらないようにするのが目的です。

少し離れた場所から撮影した、柔軟パテを入れた場所です。
それよりは、下の木部を注視していただければ幸いです。リビング椅子の良い物は、長く使っても軋みが発生しませんし、このような細工が施されている物も多くあります。座面は合成皮革でしたが、木部は細部の加工がされており座面を止めた後に太鼓鋲を使って押さえるなど、デザインに多くの力がそそがれていました。テーブルも同様の作りを施されており、椅子とテーブル一体でリビングのイメージを醸し出すというタイプでした。
座面は傷めば交換できます。しかし、木部はなかなか同様のイメージを持っている物を探すのは困難な場合が多くあります。

クッション(弾性)補修後の座面です。触らなければその回復状態はご理解いただけませんが、何となく張りが戻っているのが見ていただけるのではないでしょうか。
ちなみに、傷みの見られた高密度ウレタンは傷みのある場所にプラスで追加していますので、弾性ベルトだけではない補修を行っています。

施工後の全体ですが、最初の画像とあまり違いが判らないのではないでしょうか。
しかし納品した時、お客様から「さすがに職人仕事ですね。」とお褒め頂きました。座面を支えていた弾性ベルトの張り替えが主な原因でしたが、全体的な仕上がり状態を喜んでしただけたと思います。切れの補修についても喜んでいただけました。今回は4脚のリビング椅子を2脚づつお預かりすることで、日常のご使用にも支障はありませんでした。効率だけを考えれば4脚同時にお預かりする方が良いのですが、お客様の使用状況を考慮して判断したものです。

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