土屋鞄製作所の手提げ鞄の引き手リメイク

お持ちいただいた土屋鞄製作所の手提げ鞄です。キズや傷みはほとんどありません。

反対側も同様に傷みは無く、色の擦れや糸のホツレも見られませんでした。

お客様にお持ちいただいた理由は、こちらのファスナーを開閉するためのスライダー上に「引き手」がありません。

破損した「引き手」がこちらです。本来は写真の右側に切れた継ぎ手(少し出っ張ってスライダー上に残っているリング金具と繋ぐ部分)があるのですが、カットした後に撮影したためにこのような状態になっています。真ん中に開いている四角い穴は鍵を使うときに使用するものです。

本来の形に戻すためには縫製を外して、その内側に継ぎ手になる部分を作るのですが、お客様とのお話の結果縫製は外さずにリメイクしてリングカシメを使うことにしました。そしてスライダー上部に残っていた丸カンとの接続には金具を使うことで了解いただきました。

リメイクした引き手を取り付けた状態です。二重リングでスライダー上の丸カンと繋がっているのがお判りいただけます。長さも元々の長さにほぼ合っていますので、かぎを使うことも可能です。新しい金具の色はどちらもアンティークゴールドなので違和感はないと思います。
お客様も「こっちの方がいいね。」とご満足いただけました。なぜ「リングカシメ」と「二重リング」を使っているかは下記の理由があるからです。
①リペア費用を抑えるため
②スライダー上の丸カンの取り外しが出来なかったため(カットするのは忍びない)
③二重リングを入れることで鍵穴の寸法に合わせるため
④二重リングを使うことで90度方向を転換するため
⑤リングカシメを使っているのは以前よりも丈夫にするため
というような理由があります。
土屋鞄製作所に気を付けていただきたいのは「スライダー上の金具になぜ丸カンを使ったのか?」ということです。本来であればDカンを使うべきところです。コストはほとんど変わらないはずです。丸カンを使ったために、早くに引き手が切れることになったと思われます。
単なるリペア職人の独り言ですが、耐久性に直接影響がありますので、こういったところは注意して製造して欲しいものです。

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