ジャケットへのワッペン取り付け

ワッペンの取り付けでお持ちいただいたジャケット。表面は革ではありませんが、厚いタイプのために施工させていただくことになりました。

ワッペンの取り付け位置は胸に二枚。マスキングテープで仮止めして取り付け位置をお客様と確認させていただきます。

もう一枚は腕に取り付けて欲しいという事でした。ワッペンを取り付ける場合、ジャケット側を回転させながら縫製するため、腕に取り付ける位置が下すぎると縫製できません。八方ミシンがあるとかなり自由が利きますが弊社には腕ミシンしかありませんので、お客様には「少し上の位置でも良い。」とのご了解をいただき施工に入ることになりました。

背面にはお持ち込みいただいた段階から二枚のワッペンが縫製されていました。弊社もこちらの縫製と同様な状態で縫製しなければなりません。

内側を見てみると、裏生地に直接縫製されていました。ワッペンの周囲を縫製する方法は弊社と同じです。裏糸は生地に合わせてモスグリーンの糸が使われていました。

虎の前足にある爪などもキレイに縫製されています。裏生地に使われている布もしっかりしていましたので、縫製には問題なさそうです。
生地にシワが寄っていますが、こちらは表と違って裏生地に余裕を持たせることで着心地を確保するためです。そういう意味では裏生地に針を通さない方が着心地は確保できて裏生地にも負荷は掛かりません。しかし、今回はすでに二枚のワッペンが裏生地に糸を通しているため、今回は同様の施工方法を採用することになりました。

まずは腕部の縫製です。ワッペン外周に合わせて表糸はブラックで裏糸はモスグリーンで縫製しています。

裏生地を見ながらの縫製はできませんので、縫製後に出来上がりを確認しなければなりません。シワはあまり発生せずに縫製できていました。

胸に二枚のワッペンも同様に外周はブラックの糸で縫製していますが、右側のワッペンの外周は非常に幅が無いため最新の注意をしてイエローの部分にブラックの糸が落ちないようにしなければなりません。そういう点では右側のワッペンの縫製が一番難しいのかもしれません。

左側ワッペンの裏側縫製の状態です。かなり曲がっているようですが、表をずらさないように縫製していると裏に歪が集中しますので、この状態は許容いただくしかありません。シワもあまり入っていないのがご覧いただけます。

右側ワッペンの裏もシワも少なく良好な縫製状態です。ワッペンの外周の幅が狭いために皮肉にもこちらの糸乱れは少なく感じてしまいます。

ワッペン三枚縫製後の全体です。
お客様にも表と裏の状態を確認いただき、喜んでお持ち帰りいただきました。腕のワッペン取り付け位置は最初にお客様と決めた位置から移動せずに取り付けられています。
本革でなくてもジャケット類は分厚いため、街の修理店ではできない場合もあります。そのような場合は弊社にご相談いただければお見積りさせていただきます。弊社は自社施工していますので、施工方法をご説明できるのが大きなメリットです。

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