2026-05-07 / 最終更新日時 : 2026-05-15 knishikawa ブランド財布 PRADA長財布の思い出再生 プラダの長財布をお持ちいただきました。かなり使用感があり、お客様とお話をしながらリペアする内容を決めていきました。 反対面も同じように使用感がありました。お客様とのお話し合いで、当然表面のリペアは必要という事になりました。 表面の全面リペア(補修)を行うには、塗装する前の下処理が重要です。特に今回は、底面の革切れを事前に補修しておかないと、塗料だけでは凹凸の回復ができません。 反対側の底面も同様に革切れをしていました。財布を開閉する度に曲げが発生することと、擦れが起きやすい箇所なので、どうしても傷みやすいところです。 コパ(エッジ)も色がほとんど無くなっていました。底面と同じように革が切れている箇所も含めて、コパ(エッジ)の全周リペアが決まりました。さらにお客様からファスナー部左右の布生地のクリーニングのご依頼もいただきました。ただ、こちらは布生地なので、お客様との打ち合わせ中に実際にクリーニングを行って、落ちる状態を確認いただいてからご発注いただいています。 内側の、小銭入れのスライダーの引き手も無くなっていましたので、「使いやすくなれば良いのですが…。」という事でしたので、革を接着するだけの方法で引き手を作ることになりました。 さらにお客様のご希望が、小銭入れ部の布切れの補修でした。本格的に修復するには、完全に分解する必要があります。そこで、弊社で時々行っている「袋状に作った物を入れ込む方法」をご提案し、全てのリペア(補修)方針が決まりました。 「布生地を袋状にして入れ込む方法」は弊社のアイデア修理の一つです。複雑な袋形状はお断りしていますが、こちらは二つ折りが基本形状なのでご提案させていただきました。少しでもリペア(補修)費用を抑えるための方法ですが、結構手間が掛かるため費用はそれなりに高くなります。 小銭入れ部のスライダーの引き手はこのような感じです。単に革をカットしてDカンに通して接着のみで仕上げています。こちらは革で引き手を作る最も安い方法です。別に革でなくても布生地や紐を加工しても作れますので、引き手が切れた場合に簡単に作ることができます。 ファスナー左右の布生地クリーニングはこの程度です。綿棒などを使って丁寧にクリーニングしていますが、布に染み込んだ汚れはなかなか落とせません。洗濯板などでゴシゴシできれば、もう少し落とせるのかもしれませんが、ファスナーの用途が一番大切なので、深追いはできません。 底面の革切れは補修(リペア)はこのような状態です。下処理をしっかり行えば、この程度まで回復します。 反対側の底面の状態です。リペア(補修)状況が十分確認いただけると思います。外側のスライダーの引き手も内側同様に簡易型で作成しました。簡易型ではなく、引き手を本格的に作る場合は下記のような工程が必要です。・革の切り出し(簡易型と同じ)・革表面の塗装・折り部に引っ張り強度強化の布生地接着・接着剥がれ防止の縫製・引き手側面のコパ塗りというような5工程になります。縫製も全周縫製するか、中心部一本の縫製にするかで作業時間が異なります。革の形状も今回の直線カット以外の方が多いと思います。簡易型以外をご希望される場合は、ご相談いただければ対応可能です。 表面の塗装色はお客様と十分に打ち合わせさせていただきます。「塗装色」以外に「光沢」も重要だからです。 ブランド名が刻印されている金属プレート周囲も表面色と同じ塗料で塗装しています。ただ、こちらは細筆による塗装です。コパ周囲も傷みが激しかったため、最後のスプレーガン塗装前は筆塗りで行っています。弊社は筆塗りだけの塗装も行いますが、仕上がりを考えてスプレーガン塗装も行いますし、今回のような筆塗り後のスプレーガン塗装というハイブリッド塗装も行っています。受け取りに来られたお客様も大変喜んでお持ち帰りいただきました。財布は奥様がお使いの物で新婚旅行の思い出の一品との事でした。引き手もあまり違和感が無かったようで喜んでいただけました。