革ジャンの色直しです

昨年お持ちいただいた革ジャンです。色が無くなっているのがご覧いただけます。

背面も同様に色落ちが見られますが、正面よりも比較的状態は良いようです。

ブランドが入っている周辺も同様に色落ちが見られます。ブランドの上側は擦れて色が無くなってしまっています。

袖部分は、おそらく転倒時の保護を目的としてさらに革が縫い付けられていました。
その表面の傷みが余りにも酷い状態でした。

袖部分は、指で触るだけでも革の表皮がボロボロと落ちるほど劣化していました。他にも同様の場所が数か所あり、すぐに色補修をするには無理がありました。もし、この状態で塗料を塗布したとしても、表皮と共に塗料も剥がれてしまいます。
そのため、表皮がボロボロと落ちなくなるまで、革の表面を削ぐことで真皮が出てきます。この作業を繰り返し行うことで、革に塗料がキチッと載るようになります。

ボロボロと落ちてしまった表皮です。画像で見ると大した量ではありませんが、袖部の表皮だけ真皮を傷めないように削ぐ必要があるため、慎重に行う作業時間が長く続きます。また、一日で削ぐのではなく、時を置きながらその作業を行う必要があるため、多くの時間が必要でした。

真皮が表面になった段階で塗装開始です。傷んでいた表皮ではないので、塗料はキレイに載りました。しかし、実際には傷んだ表皮を削いでいるため、真皮にも傷みは伝わります。そのため、塗料を塗布して乾燥させた後はザラザラ感があります。そのザラザラ感を少なくするために、何度か表面を整えながら塗装を繰り返すことが必要です。
同じようなサイズの革ジャンでも必ずしも一定の金額では仕上げられない事がお判りいただけると思います。

ブランド周辺もキレイに塗装が完了しました。
ブランド残しの手法は、別に特別な方法を使っているわけではありません。ブランド周辺を細筆で塗料を入れていくだけです。そうはいっても、傷んでいる革に塗料を入れることは細心の注意が必要です。ブランドに塗料が付かないギリギリを見極めながら塗装しています。
ただ、色が合っていないと違和感が残ってしまうため、調色が一番重要です。

施工完了後の背面です。もちろん、背面に付いていたベルトも塗装しています。

お客様にも大変喜んでいただけました。
革表面の傷みが激しかったため、実際にお渡しできたのはお預かりしてから一年を経過していました。完了予定日を大幅に遅れての仕上がりでしたが、今シーズンの始まりには何とか間に合ったようです。
シーズンごとに使用するするものは、シーズン終わりにお預けいただき、次のシーズンに極力間に合うようにお届けしたいと思っています。

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