折り財布の全体補修
お持ちいただいた折り財布。「今後も使い続けたいので綺麗にして欲しい。」という事でした。
色は擦れによってほとんど元の色が見られません。
背面も同様に擦れで色が無くなっています。
側面はエッジ（コパ）の色がほとんどありません。
反対側の側面も同様に、エッジ（コパ）に色はありません。
内側は少し元の色が残っていました。しかし、擦れは全体に及んでおり、さらに内側には２色の色が使われています。
小銭入れのファスナーを開けてみると折り面の擦れは気になるほどではありません。しかし、エッジ（コパ）は色が無くなっているのがご覧いただけます。
お客様が気にされていたのは、小銭入れの内側でした。生地はポリエステル製だと思われます。
この汚れは小銭の金属同士が擦れあって削られた金属が付着した汚れです。そのため、補修してもそれほど綺麗な状態が続くわけではありません。しかし、お客様は「こちらも綺麗にして欲しい。」ということで、本当に全体の補修をご依頼いただきました。
小銭入れ部の内側を良く見ると、生地の切れている部分もありましたので、確かに今回の修理（リペア）でやっておけば外側の革を傷める事はありません。
生地は、鞄の内側に良く使われている材料を使い、同じような色の生地を探して採用することにしました。
今回使用した生地はかなり元の色に近いものが入手できました。しかし、必ずしも近似色がいつも入手できるとは限りませんので、今回は大変ラッキーでした。
今回の修理（リペア）は元の生地に新しい生地を貼り付ける方法で施工しています。元々が生地を貼り付けていたからです。
小銭入れ部を袋状に作成して落とし込む方法もありますが、今回は貼り付けを選択しました。
側面のジャバラ部も塗装していますので、色落ちしていたところも綺麗になっています。
内側も２色とも十分に回復したのがご覧いただけます。
側面のエッジ（コパ）も最初の耀きを取り戻せました。
側面は完全に２色なので塗り分ける必要があります。慎重に手塗りを行って塗分けしています。
背面はこのようになりました。
お客様に完了した一品をお渡しして、出来上がり状態をお聞きすると「大満足！」と言っていただけました。
こちらの財布についてはご来店いただいた時に、息子さんからのプレゼントで「死ぬまで使い続けたいの。」と言っておられましたので、弊社としてもご満足いただけて本当に良い一品になりました。
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