垣花正アナウンサーのBALLYバックの補修
毎日、作業所で聴いているニッポン放送『あなたとハッピー』で２０２３年１０月から始まった「前島花音の あなたにハッピー届けたい」に応募した結果「１１月１４日の放送で伺います。」という良い返事をいただけました。
それならばと「どなたかの革製品をリペア(修理)しましょうか。」とお話し、送られてきたのが垣花正アナウンサー愛用のBALLYのショルダーバックでした。
正面(上部の写真)も背面も特に傷みはありませんでした。
しかしショルダーバックとして使う結果、一番負荷のかかるのがこちらのベルト元です。本体側(金具の右側)はあまり傷んでおらず、左側のベルトの革にシワが発生しているのがご覧いただけます。こちらはショルダーとして使用した場合は外側(人に見られる場所)になります。
その裏を見ると、革が切れていました。写真の上下がパックリと切れが発生しているのがご覧いただけます。
反対側のベルト元は実に酷い状況でした。裏の革が反り返って、外側からも裏革が確認できる状況でした。
その裏を見てみると吊り下げている革の半分程度が切れていました。白い生地のようなものも写っていますが、こちらはベルトの耐力を上げるために使われている物です。
まずは傷みの酷い方の縫製をカットして外してみました。
この角度から見ていただくと二枚革で作られているのがお判りいただけます。その他にも白い生地と薄茶色の物があります。
さらに分解すると作り方が見えてきます。
一番左側はショルダーとして使ったときに外側になる革の裏側です。真ん中にあるのがベルト革を少し膨らませるデザインのための部品です。こちらは強度には全く関係ありません。一番右側が裏に使われていた革で薄茶色に見えるのは革に腰を持たすための厚紙です。写真には写っていませんが、その他に白い生地が使われています。
もう一方のベルト元も分解しました。こちらは傷みの少なかった方です。白い生地が残っており中央を通っているのがご覧いただけます。薄茶色の厚紙も残っており、出来上がりの厚さもここから算出していきます。
傷みの激しい物との違いがお判りになるでしょうか。傷みの少なかった方は上下に金具が入りますので、形状が異なっています。
今回は中に隠れていた厚紙の代わりに合成皮革を入れることにしました。写真の左側が合成皮革の裏側です。縦横に糸が走っているのが見えます。これにより白い生地の代わりにもなります。
裏側の革の代わりも合成皮革を使うことにしました。これにより、合成皮革が二枚合わせになりますので強度は確実に上がります。弊社が使っている合成皮革はソファや大型の椅子の座面などに使われるもので強度は高いものです。
左側が傷みの少なかった方のベルト革です。まだ施工していませんので切れが入った状態のままです。右側が傷みの激しかったベルト革です。切れていた部分は少し筋が残っていますのでお判りになると思いますが、裏側に合成皮革を貼っていますので、強度は十分に回復しています。
こちら側はオリジナルの革をそのまま使っていますので、バックに取り付けた時も違和感は無いはずです。
こちらが傷みの少なかった方のベルト革です金具に通してから縫製を行っています。
本来ならば、金具はネジを抜くと分離できるタイプだったのですが、経年の関係かネジが全く回せない状態でしたので、金具に革を通した後に縫製するしかありませんでした。
こちらが傷みの激しかったベルト革です。縫製の近くに少し筋が残っていますが、こちらは切れた革が少し段差が発生しているために発生したものです。表面を塗装すれば無くなるのですが、今回は表面塗装を省くことで時間の短縮を図っています。
ただ、革の裏に入れた合成皮革が見える端面のコパは、きちっと処理していますので違和感は出ていません。
正面からは見えない場所ですが、オリジナルの革を表面に残して、裏側で強化する方法は弊社の特徴の一つです。
今回、合成皮革を二枚合わせにした理由は、分解したときに厚紙が入っていたからです。最初は裏側もオリジナルの革を使うことも考えましたが、革の伸びが激しかったために合成皮革に変更したため、厚紙の代わりの合成皮革と裏側の革の代わりも合成皮革にしたため、二枚合わせになりました。強度は確実に上がりますので、垣花正アナウンサーにとっては良いことだと思います。
こちらはニッポン放送で撮影いただいた、垣花正アナウンサーの手元に戻ったショルダーバックの写真です。ご満悦？のご様子なので気に入っていただけたようです。放送では「メーカーに依頼しても修理できません。と断られた。」と言っておられましたが、弊社でリペア(修理)するものは結構同様の理由でお持ち込みいただきます。
写真はWEBから取らせていただきましたが、もし発見しても削除の依頼は出さないでくださいね。お願いいたします。
ニッポン放送は従来のラジオだけでなくインターネットのradikoでも聴けますので、電波の届きにくいところでも快適に聴くことができます。また、タイムフリーを利用すれば１１月２０日まで弊社からの中継放送も聴いていただけると思いますのでお試しください。
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